※10月15日更新
クリップスタジオにはワンクリックで
写真をモノクロ画にできる便利な機能(LT変換)があります。
ですがそのままではリアリティが強く、漫画のキャラクターに馴染みません。
このページではクリスタの写真LT変換の基本的な使い方、
写真素材を素早く、漫画風に変えるコツをお伝えします。
デジタルの機能を最大限に生かし、アナログではできない
時間短縮と高クオリティを同時に実現してみましょう!
※LT変換はクリップスタジオEXでのみお使いいただけます
目次
LT変換・設定画面の使い方
はじめにLT変換の設定画面を開きます。
写真素材を読み込み、レイヤータブ→レイヤーのLT変換をクリックします。
写真の読み込み方法はこちらをご参照ください。
レイヤーのLT変換、設定画面です。
複雑に見えますが大丈夫です。必要事項はたったの4つです。
①プレビュー
②ライン幅調整
③検出方向
④トーンワーク、階調化
それでは一つ一つ説明していきます。
①プレビューにチェックを入れると、写真がモノクロ化されます。
プレビューは設定の変更や調整にとても便利なので、
一番はじめに必ずチェックを入れましょう。
次に②ライン幅調整をします。
数字が小さいほど線が細く、大きいほど線が太くなります。
自身の作風にあったライン幅に調整しましょう。
※④トーンワークのチェックをはずしておくと、ライン幅が見えやすくなります。
③検出方向は光源設定のようなものです。
矢印の方向に影ができ(線が太くなり)ます。
基本は2方向で、写真の光源や好みで設定してOKです。
④トーンワークと階調化にチェックを入れると、
トーンワークが自動で作られます。
※左から100%(ベタ)、30%、10%
△マークをスライドして陰影を好みに調整できます。
△マークを右端までスライドすると、トーンの数を減らせます。
トーンを追加するには空白部分にマウスカーソルをあててクリックします。
※カーソル部分に+のマークが見えたらクリック
数字をクリックすると、トーン濃度を変更できます。
全ての調整が終わったらOKを押します。
輪郭線(線画)、トーンワーク、下地のセットが1クリックで完成しました。
※注意※
黒ベタの閾値にチェックを入れると、ベタがつきます。
一見便利に見えますが、これは線画とベタが同一化して、分離できない状態です。
黒ベタ閾値にはチェックをいれずに、
ベタは④トーンワークで、線画とは別々に抽出しましょう。
後々の編集がラクになります。
下準備・写真の濃度調整と解像度
・写真の解像度
写真LT変換の精度は写真の解像度が大きく関わります。
キレイな線を出すには横幅1600px以上の解像度が大きめの写真を使いましょう。
※ネットで拾える横幅600px程度の解像度ではキレイな線は出ません
・写真の濃度調整
LT変換の印象は写真の濃度で全く変わります。
●明るめの写真
メリット
・ごみが少ない
・漫画風に仕上げやすい
デメリット
・明るすぎると陰影が弱く、線も細切れになる=加筆が大変
※例=城部分
●暗めの写真
メリット
・夜のシーン向け
・陰影が強く、加筆を省ける
※例=城部分
デメリット
・ごみが多くなり、リアルすぎる
・暗すぎると何がなんだかわからない。
※例=手前の階段と壁部分
写真ごとにLT変換の精度や相性はさまざまに変わります。
LT変換の前に、シーンに合わせた濃度調整を行うと良いでしょう
写真素材は色調補正で濃度やコントラストを自由に加工できます。
編集タブ→色調補正から、
レベル補正、トーンカーブなどをお好みで調整してください。
写真LT変換を漫画風に直すコツ
クリスタの写真LT変換はとても便利な機能ですが、
そのままではリアルすぎて漫画のキャラクターに合いません。
また、厄介なことに
写真LT変換の精度や相性は写真によってさまざまに変わります。
この項目ではLT変換後の写真を漫画風に直すための様々なコツをご紹介します。
①二枚の線画を組み合わせる
写真によっては、1度のLT変換では良い線が出ない場合があります。
そこで、2枚の線画を組み合わせたのが以下の例です。
まずはライン幅を0に、トーンワークのチェックをはずし、
OKボタンを押して1枚目のメイン線画を作ります。
次にライン幅を3に、トーンワークにチェックを入れて
OKボタンを押し、2枚目のサブ線画を作ります。
サブ線画は必要な部分だけを抜き出し、
トーン削りブラシで補正します。
メイン線画(上)にサブ線画を組み合わせた図(下)です。
写真LT変換・仕上げ例
使用写真:廃屋・カントリー風
写真素材一覧はこちら
このように、二つの線画を良い所どりして、
足りない部分を補い合うことができます。
詳細は手抜きなのに高品質!写真LT変換で廃屋メイキングをご参照ください。
また、植物はLT変換に向かないため、全て削除して描き直すのがポイントです。
植物はブラシ素材を使えば簡単に描き直せます。
漫画素材工房のブラシ素材は写真LT変換に良く馴染みますので、
是非合わせてご利用ください。
②濃淡のメリハリをつける
写真LT変換後のモノクロ画は、色のメリハリがなくぼやけた印象です。
カラー写真は各パーツが色でしっかり分けられていますが、
モノクロ画は色が少ないので、各パーツの立体がわかりにくくなるのです。
そこで、メリハリとコントラストをしっかりつけたのがこの図です。
水面と空にグラデーション。木々にはベタ。
建物と手前のオブジェには輪郭線を入れ、パーツをしっかり分けました。
これだけで一気に漫画らしくなったのがわかります。
使用写真:南国の洋館
写真素材一覧はこちら
モノクロ画の少ない色数でも、メリハリやコントラストは自由につけられます。
詳細は圧倒的な時間短縮!写真LT変換で洋館メイキングをご参照ください。
③二枚のベタを組み合わせる
写真によって光の加減が違うため、
1度のLT変換では良い陰影が出ない場合があります。
そこで、2枚の陰影(ベタ)を組み合わせたのが以下の例です。
・1枚目のLT変換
手前の壁と階段は良い感じですが、奥の城が真っ白で加筆が大変そうです。
・2枚目のLT変換
奥の城は良い感じですが、手前の壁と階段が真っ黒につぶれています。
そこで2枚のベタを別々にLT変換して組み合わせることにします。
2枚のベタを組み合わせた図がこちらです。
奥と手前で丁度良い感じの陰影ができました。
使用写真:英国風古城と遺跡
写真素材一覧はこちら
このように、2回のLT変換で陰影組み合わせると
加筆の手間を大きく減らせます。
詳細は写真を漫画風に素早く変える!古城の写真LT変換をご参照ください。
④空トーンを貼る
LT変換後の画像は空トーンを貼るだけで一気に印象が変わります。
加筆の時間がない場合は空トーンだけでも貼り替えてしまいましょう。
クリスタに写真を読み込み、レイヤーのLT変換で好みの線画を抽出します。
白地を透明色で削って建物だけの白地を作ります。
白地の下に夜空のトーンを貼り、モスクに白フチをつけます。
空トーンを貼るだけで一気に漫画らしくなりました。
BEFORE
AFTER
※夜空トーン02使用
詳細はアラビアンナイト風!満月のモスク・写真LT変換をご参照ください。
使用写真:白亜のモスク広場
写真素材一覧はこちら
⑤ベクター線でトレス補強する
※準備中
⑥写真LT変換・コツのポイント集
下の図は写真LT変換を漫画風に見せる7つのコツです。
①ゴミ取りフィルターと消しゴムで、不要なゴミを消す
②空のトーンを貼る
③斜線を加える
④ベタにも斜線を加える
⑤各パーツに輪郭線を足す
⑥自然物を丸ごと描き直す
⑦面の影を入れる
※各項目は右図の色をご参照ください。
完成図
使用写真:英国風古城と遺跡
写真素材一覧はこちら
LT変換は写真によって精度や印象が変わるので、
仕上げ方法は写真に合わせて様々に変える必要があります。
ここに挙げたのはその一例にすぎませんが、
アイデアの引き出しは多ければ多いほど役に立ちます。
是非ご自身の作品でお試しください。
メイキングの詳細は
写真を漫画風に素早く変える!古城の写真LT変換をご参照ください。