トーン素材は最もオーソドックスな素材です。
アナログでは有限で高価だったトーンも、デジタルなら無限。
いちど購入すれば何度でも使え、拡大縮小や変形も自由に行えます。
このページではクリスタ、コミスタ4両ソフトの
漫画素材工房・空トーン素材の使用方法を解説します。
目次
●ClipStudioPaint
●ComicStudio4
基本的なトーンの使用方法についてはセルシス公式サイトをご参照ください。
・CLIP STUDIO PAINT 使い方講座 トーンの使い方・基本編
・ComicStudio使い方講座 トーンを使いこなす 基本編
トーン素材とは?
トーン素材はモノクロ作画の基本素材です。
1枚ごとに消費するアナログと違い、デジタルでは1枚の購入で何度でも自由に使用できます。
また、線数や大きさも自由に調節いただけます。
●使用可能ソフト
・Clip Studio Paint ・Comic Studio4
・ClipStudioPaint
画像素材レイヤーの編集方法
画像素材レイヤーのトーン素材には画像を連結表示する
タイリングの機能があります。
①タイリングしたい画像素材レイヤーを選択します。
②ツールメニューから操作ツールを選択し、
ツールプロパティパレット上のタイリングにチェックを入れます。
③タイリング表示されました。
画像素材は自由に大きさを変更できます。
元画像の比率を維持のチェックをはずすと横幅や縦幅を変えられます。
自由変形を選択するとパースのついた変形が出来ます。
自由変形をすると見栄えが悪くなりますが、印刷には影響しません。
気になる方はラスターレイヤーに変換してください。
ラスターレイヤーに変換した状態
ラスター化したレイヤーはメッシュ変形で円筒状にすることも出来ます。
応用方法もご参照ください。
基本設定と素材登録方法
クリップスタジオのトーン基本設定と素材登録を行います。
下図は漫画素材工房トーン素材のレイヤー構成。
レイヤーはトーン化済みのグレースケール画像です。
トーン線数は赤枠内の項目から変更できます。
赤枠内のトーンボタンでトーンからグレースケールへの変換が自由に出来ます。
グレースケール画像になりました。
もう一度トーンボタンを押すとトーンに戻ります。
素材登録を行います。
フォルダを選択するとフォルダ内のレイヤーをまとめて登録できます。
素材パレット左上のマーク(青枠)を押します。
画像を素材として登録をクリックします。
任意で名前を付け、保存先を選択し、OKを押せば登録完了です。
素材登録をすれば簡単にトーンを呼び出すことができます。
好みのサイズを作成、登録したい場合にご使用ください。
濃度の変更方法
漫画素材工房のトーン素材は雲形状の複製を防ぐため、
色調補正、トーンカーブでの濃度調整が行えないレイヤー構成になっています。
濃度を薄くするには赤枠内の透明度を下げればOKです。
濃度を上げるにはレイヤーを複製してください。
複製したレイヤーの透明度を下げて濃度の微調整が出来ます。
ただしこの状態ではまだ印刷には反映されません。
印刷に反映するためには元レイヤーと複製したレイヤーのドットを
移動ツールで少しだけずらします。
これで完了です。
どうしても色調補正、トーンカーブで調整したい場合は、
レイヤーをグレースケールに戻し、下の用紙と結合します。
グレー化せずに結合をした場合、ドットがラスター化され、
グレースケール画像に戻せなくなりますのでご注意ください。
レイヤーの結合は必ずグレースケールに戻してから行ってください。
用紙と結合し、下地が全て白くなりました。
この状態でトーンカーブでの濃度調整が可能になります。
レイヤーを再びトーン化して完成です。
ただしこの状態では下地が白く、透過していないため
人物や背景の上にかぶせる場合には合成モードを乗算にして下さい。
拡大縮小でサイズを合わせる
漫画素材工房のトーン素材は7000×3700ピクセル600dpi
単ページの他、拡大、倍率調整でB4の見開きにも対応可能なトーン素材です。
しかしサイズが大きいため、単ページに貼り付けると下図のようになります。
適正サイズに合わせるには編集タブ、もしくはショートカットで拡大、縮小を行ってください。
拡大、縮小をしてもトーンの線数はしっかり維持されます。
単ページに合わせる場合は縮小します。
比率を維持するにはShiftキーを押しながら調整してください。
B4見開き上に置くと下図のサイズになります。
B4見開きに合わせる場合は拡大してください。
ComicStudio4
漫画素材工房の空トーン素材はコミスタ専用のトーンファイルで作成されており、
通常のトーンと同様のカスタマイズが可能です。
トーン素材の登録方法については素材の読み込み方法をご参照ください。
トーンレイヤーの基本操作
ページ上に任意のサイズで選択範囲を取り、
素材パレットからトーンをドラッグドロップします。
選択範囲を取らずにドラッグドロップすると、
ページ全体にトーンが貼られてしまい、読み込みも重くなります。
シームレスではないため、
トーンを貼り付けた状態ではこのように位置がズレています。
調整するにはトーンプロパティ画面を開きます。
プロパティウインドウのトーンタブを開くか、該当のトーンレイヤーをダブルクリックします。
トーンプロパティ画面が表示されました。
左上にある移動ツール(赤枠)と選択すると、
ページ上のトーンをドラッグでスライドできるようになります。
移動調整が完了しました。
横の回転ツールでトーンを回転できます。
回転、移動、拡大縮小をどれだけしても、線数と角度は設定の状態で常に維持されます。
倍率の数値調整で拡大、縮小が行えます。
明るさとコントラストで濃度を調整できます。
裏返しを選択すると、トーンを反転できます。
トーン領域
トーンレイヤーの特徴であるトーン領域を利用して見開きサイズへの拡大を行います。
トーンレイヤー上で消しゴムツールもしくは透明色でトーンを削ってみます。
黒色を選択し、削った箇所を塗り直すとトーンの模様が復元されました。
追加で領域を広げることも出来ます。
トーン領域はレイヤープロパティのトーン領域(赤枠)に
チェックを入れることでより明確に視認できます。
この機能を使ってトーンを見開きサイズに拡大します。
見開きサイズに合わせた選択範囲を取ります。
黒色で選択範囲内を塗りつぶすと、トーンの繰り返しパターンが表示されました。
見開きサイズに合わせて倍率を上げます。
トーンプロパティ画面左上の移動ツールで位置を調整して完了です。
グレートーン変換と素材登録方法
コミックスタジオにはトーンレイヤーの他に、
もう一つ、グレートーンと呼ばれる別のタイプのトーンが存在します。
トーンレイヤーを右クリックして、レイヤーの変換を選択します。
レイヤーの変換画面から表現色をグレー、原色手法をトーン化に設定し、OKを押します。
トーンレイヤーからグレーレイヤーへと変換されました。
グレートーンに変換すると、見た目が綺麗になります。
印刷上ではどちらも変わりませんが、綺麗な見た目で作業したい方は
グレートーンを利用してください。
グレートーンはトーンの線数とドットを維持しながら
通常のレイヤーと同じように拡大縮小や変形、移動などが出来るトーンです。
編集タブ、もしくはショートカットキーで拡大縮小を選択します。
元画像の比率を維持(赤枠)のチェックをはずします。
トーンレイヤー上では出来なかった縦長や横長の変形ができるようになりました。
どれだけ変形を施しても線数とドット形状は維持されます。
回転や縮小をかけると濃度が変わってしまうグラデーショントーンも、
グレートーンに変換することで元濃度を維持したまま変形が可能になります。
ただしグレートーンにはトーンレイヤーのような領域機能がありません。
試しに消しゴムでトーンを大きく削ります。
黒で塗りつぶしてもトーンレイヤーのように復元はされません。
グレートーンを素材に登録することで、いつでもページ上に呼び出すことが出来ます。
編集タブからパターンの登録、キャラクター素材を選びます。
※グレートーンをトーン素材に登録しても、トーンとして機能はしません。
素材パレットにグレートーンが登録されました。
好みのサイズを作成、登録したい場合にご使用ください。
※ご注意※
トーン素材の中には白色を含むものがあります。
コミスタのグレートーンは白色を維持したまま変換することができません。
変換すると白色部分が消えてなくなってしまいます。
・変換前
・変換後
白色を残したまま見た目の変更や、各種変形を行う場合は
通常のラスターレイヤーに変換してください。
クリスタからコミスタトーンを作る方法
「コミスタでもクリスタのようにカスタマイズ豊富なトーンを使いたい」
というご要望を受け、クリスタファイルから好みのカスタマイズトーンを
作る方法をご紹介します。
コミスタのトーンにはトーンレイヤーとグレートーンの2種類があり、
それぞれの方法を解説していきます。
※この方法はClipStudioPaintをお持ちの方のみご利用いただけます。
はじめにクリップスタジオのトーン素材ファイルを開き、
レイヤープロパティの「トーンボタン」で
トーンレイヤーをグレーレイヤーに切り替えます。
これは最も重要な作業です。一つ一つ確実に行ってください。
トーンにしたいレイヤーのみを残し、他のレイヤーは全て一時的に削除します。
※この状態でクリスタファイルを保存してしまわないようご注意ください。
作業前にファイルのバックアップをオススメします。
周囲の余白を無くしたい場合は編集タブからキャンバスサイズを変更をクリックします。
青丸内のボタンをスライドし、お好きなサイズに調整したらOKボタンを押します。
全て準備ができたらファイルを書き出します。
ファイルタブから複製を保存→psd(photoshopドキュメント)を選択します。
保存先、保存名を決定し、
表現色=RGBカラーを確認したらOKボタンを押します。
ここからようやくコミスタでの作業に移ります。
はじめにトーンレイヤーの作成方法についてご説明します。
F6キーで素材ウインドウを開き、
目的のトーンフォルダを選択→新規トーンボタンを押します。
トーンプロパティウインドウから
トーン種別→背景を選び、フォルダのマークをクリックしてファイルを読み込みます。
先ほど書き出したファイルを選択し、開くを押します。
※表示されない場合はファイルの種類を全ての画像ファイルに変更してください。
プレビューで画像が正しいことを確認し、新規トーン作成を押します。
素材パレットに新規トーンが追加されました。
これで全ての作業が完了です!
次にグレーレイヤーの作成方法です。
クリスタファイルを開き、
必要なレイヤーのみを残した状態で、psdファイルに書き出します。
ここからコミスタでの作業に移ります。
ファイルタブから読み込み→Photoshopファイルをクリックし、
クリスタから書き出したファイルを選択します。
読み込みたいレイヤーとレイヤー設定を共有するにチェックを入れます。
種類:ラスターレイヤー
表現色:グレー(8bit)
減色手法:トーン化
を選び、OKボタンを押します。
レイヤー別に分かれたグレートーンが完成しました。
※グレートーンにすると白地(月や星)は透明化しますのでご注意ください。
グレートーンは透明度を下げて濃度の調整ができます。
ただし印刷や書き出し設定がモノクロ2階調になっている場合は
印刷にいっさい反映されませんのでご注意ください。
この方法でコミスタでもご自身だけのカスタマイズトーンを作ることができます。
ぜひご利用ください。